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World Championships2016 大会結果について

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少し前のお話になってしまいますが、今年6月19日〜26日にアメリカのシンシナティーで2年に1度の世界選手権が開催され、日本代表として参加してきました。
ラート競技はまだオリンピック種目ではないので、この世界選手権が一番大きな大会で、世界のトップ選手達が最大の目標としている大会です。世界選手権が開催されない年には世界ラートチームカップという大会があり、こちらも世界最高峰の大会ですが、団体戦のみの大会なので個人戦はありません。

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今年の世界選手権の結果は、団体戦準優勝、個人総合5位入賞、種目別斜転4位入賞、種目別直転5位入賞、種目別跳躍7位という結果でした!
個人の結果としては、種目別の直転以外は過去最高の順位という結果でした!
(種目別の直転では2013年の大会で銅メダルを獲得しているので、最高順位の更新とはなりませんでした。)
直転では決勝でミスしてしまい、目標としていた優勝は成りませんでしたが、個人総合、そして種目別斜転の入賞は本当に嬉しかったです。その訳は大会までのプロセスにあるので、今回はそのことについて書かせていただきます。

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世界選手権を偶数の年に変更しようという世界ラート連盟(IRV)の意向により、2015年と2016年は連続で開催されました。私は怪我により昨年の世界大会出場が叶わなかったため、世界選手権出場は3年ぶりでこの大会には並々ならぬ想いがありました。
しかし、世界選手権に向けて新しい技を習得するために練習の負荷をあげていた大会3ヶ月前、ふとした瞬間に腰を痛めました。急性腰痛症(ぎっくり腰)でした。元の負荷で練習するためには約1ヶ月かかるとのことで、はじめての腰痛で少し焦る気持ちもありましたが、幸い大会に出場できないような大きな怪我ではありませんでしたし、前向きな気持ちでリハビリを始めました。急性腰痛症は再発が怖いため、慎重に練習を続けていましたが、最初の受傷から一ヶ月ほど経ったある日にアクシデントにより、再発させてしまいました。

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さすがにこの時は「またしばらく練習できないのか…」とかなり落ち込みました。もちろん、大会まではまだ2ヶ月あったので、再発させずに治せば出場はできる状況でした。しかし、「出場は間に合う、ただそれまで本番の演技はほとんど練習できない」という状況が耐えられない程の苦痛でした。世界大会から約半年前の全日本大会で日本代表が決定するのですが、全日本大会と世界選手権ではルールが違うため、代表が決まってから新しい演技を作り始める選手がほとんどなのです。「練習したら再発するかもしれない、でも練習をしないと本番までに演技ができあがらないかもしれない。そんな状態で出場する世界選手権に意味はあるのか…?」と毎日自分に問いていました。

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幸い、しばらくすると直転は腰に負担をかけないようにできる技が増え (とはいっても恐る恐るですが…)、できる部分をひたすら練習することと腰のリハビリに時間をかけました。特に直転で優勝を狙っていましたし、団体戦でも直転を担当することになっていたので、もう直転のみに出場を絞ろうかとも思いながら直前まで過ごしていました。しかし試合が近づくにつれて、「2年に1度の舞台、せっかくこれまで3種目とも逃げずにやってきたのだから、全種目出場できるのであればしたい!!!」という思いが込み上がってきました。跳躍は出国2週間前、斜転は出国3日前にやっと本格的に本番でやる予定だった演技の練習をすることができました。

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本番では、「世界選手権の舞台に戻ってこられた」「この場で3種目に挑戦できる」ということが本当に嬉しく、演技をする前から涙が出てきそうな程でした。
予選では斜転に少しミスが出てしまいましたが、直転と跳躍は会心の出来でした!予選が終わり、「あとは団体戦、そして直転の決勝だけだ!」と思っていました。しかしその後、思わぬことに決勝進出者として直転以外にも個人総合と斜転で自分の名前が呼ばれ、とても驚きました。このような背景があり、今回の結果は自分にとって、とても感慨深いものでした。その瞬間その瞬間のベストを尽くすことが何より大事なことだと改めて感じた大会になりました。
怪我は試合の結果の言い訳にはなりません。しかし、その中でベストの演技ができ、さらに結果がついてきたことがとても自信になりました!怪我をしない強い身体を作るトレーニングもしながら、まだまだ技術も磨いて、また2年後の世界選手権の大舞台で理想の演技ができるように顔晴ります!