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ドイツ留学で得たもの

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11月9日でドイツへの留学から帰国し、2年が経ちました。今日はその時のドイツ留学で感じたことや経験したことをお話ししたいと思います。 私がドイツへの留学を考え始めたのは、2013年の世界選手権が終わってから数カ月経った頃でした。その頃、私は「もっともっと上手くなりたい!」と強く思いながらも、なんだか練習は楽しいと思えず、かといって練習しないわけにもいかず、とりあえず体育館に足を運ぶような日々を送っていました。何かが物足りなく感じていた時、2014年の世界ラートチームカップがドイツで開催されるということを聞いて「チームカップの代表に選ばれたら、そのままドイツに留学しよう」と決めました。とはいっても、ドイツでは日本の大学での練習ほど自由に練習できませんし、言葉の壁もあるためドイツに行って練習すればラートが上手になるという保証はありませんでした。もしかしたら練習量が減る事で、これまでできていた技ができなくなる可能性すらも頭をよぎりました。しかし、辛い事や楽しいこと全てをひっくるめてラート発祥の地であるドイツで暮らし、練習することがその時の自分には必要な経験であると直感的に感じ、留学することにしました。

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無事にチームカップの代表に選ばれ、その試合後から一人ドイツに残って新しい生活が始まりました。最初はFlensburgという北ドイツの街でラートクラブを仕切っている方のお家に住まわせてもらい、語学学校に通いながら週2回の2時間の練習をするという環境で暮らしました。その街はとても治安も良く、ドイツでの生活に慣れるためにはとても良い環境でした。あっという間に3ヶ月が経ちドイツでの生活にも慣れた頃、Leverkusenという街に引っ越す事になりました。その街では、なんとドイツのナショナルチームのコーチをしていた方のお家にお世話になりました。そこのチームには世界選手権でも顔を合わせるようなメンバーが多く在籍していて、刺激的な日々でした。 ドイツでの練習時間は、日本にいたときの半分以下でした。もちろんそれに対する焦りや不安もありましたが、なによりもドイツのトップ選手やコーチと一緒に練習をするという経験が大きな財産になりました。幼少期からラートに親しんでいるドイツ人選手の動きには、ラートと一体化していてとても滑らかで、力ではなく基礎技術がつまっているので、その動きを見ているだけでも練習になるように感じていました。

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ラート競技との向き合い方についても気づかされることが多かったです。日本にいたころの私は「休んだら下手になるのではないか」というような危機感をいつも感じていて、休む事が苦手でした。しかし、ドイツの選手達は週に何日と決められた練習日にしっかりと集中して練習し、練習のない日は自分の趣味を楽しんだり、夏休みは長めの休みをとって海外旅行へ行ったり、クリスマスや年末年始等はしっかりと休みをとっていました。

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ヨーロッパ諸国の選手たちに比べ、ラート競技を始めるのが遅かった私は練習量を多く確保することで、今のレベルの技術が身についたという自覚はあるので、一概にどちらが良いというわけではありません。しかし、こういった向き合い方もあるのだということを学びました。ドイツに留学する前、練習が楽しいと感じられず、ただただ体育館に向かうようになっていた私にはとても大切なことでした。「練習に行かなければ…」というような気持ちで練習するのと「練習したい」という積極的な気持ちで練習するのでは練習の差が大きくあります。時には気持ちも身体もしっかりとリフレッシュしつつ、練習するときは集中して質の高い練習ができるようになったと感じています。

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そして何よりも、ドイツ留学時にお世話になった方々との関係は一生の宝物です。今年の世界選手権では久しぶりに再会を果たしました。世界選手権では違う国の選手やコーチであり、日本とドイツは最大のライバルといえます。しかし演技前にはお互い最高の演技ができるように言葉をかけあい、演技後には讃えあえるような関係です。現在は遠くの国に暮らしているので、時々メッセージをやりとりしたり、年に一度会えるかどうかという程度ですが、このような仲間が世界中にいることが私の力になっていることは間違いありません。またお互いパワーアップした姿で再会を果たせるように顔晴っていきたいと思います。