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こんにちは、藤田俊哉です。
現役を引退した後、”ヨーロッパで監督になる”という夢に向かって、ヨーロッパに移り住んで早3年半。
本場ヨーロッパのサッカーの奥深さを分かち合いたい。
この「藤田俊哉サロン」を通して、新たなサッカー仲間が増えることを楽しみにしています!
イングランド発
藤田俊哉サロン
(元日本代表MF)
©toshiyafujita
こんにちは、藤田俊哉です。
現役を引退した後、”ヨーロッパで監督になる”という夢に向かって、ヨーロッパに移り住んで早3年半。
本場ヨーロッパのサッカーの奥深さを分かち合いたい。
この「藤田俊哉サロン」を通して、新たなサッカー仲間が増えることを楽しみにしています!
時間の許す限り、ヨーロッパで試合観戦しているが、3月11日はベルギーへと足を運び、ある日本人選手の試合を観戦した。その日本人とは今冬、Jリーグのファジアーノ岡山からベルギー1部リーグのオイペンへと移籍した豊川雄太である。
この日、豊川はヒーローとなった。ベルギー1部リーグ最終戦でハットトリックを達成し、1部残留の立役者となったからだ。その活躍は翌日の新聞などで「レジェンド!」と表現されるほどドラマチックなものとなった。
ベルギー1部リーグでは最下位チームのみが自動降格となるが、前節終了時点でオイペンは最下位に沈んでいた。残留争いしていた15位のメヘレンとは勝ち点で並んでいたものの、得失点差「1」追う立場にあった。オイペンが残留するためには、最終節のロイヤル・ムスクロン戦で、勝ち点3が欲しかった。
同時刻で行なわれていたメヘレンの試合は後半途中まで2点のリードを奪っていた。この時点でオイペンは最低でも3点のリードを奪う必要があった。
しかし、オイペンは攻めあぐね、スコアレスドローの状態が続いていた。そんな厳しい状況下でピッチに送り込まれたのが、豊川だった。
そして、その後の33分間で彼は素晴らしい結果を残し、マケレレ監督の期待に最高の形で応えてみせたのだ。
3ゴール1アシスト。4得点すべてに絡んだその内容は、まさに神がかっていた。73分に左FKのクロスから頭で押し込み、ベルギーでの自身初ゴールを決めてみせると、直後の76分にはガルシアのミドルシュートをアシスト。80分にCKからふたたびヘディングシュートを決めて2得点をゲット。そして89分にはゴール前の混戦からこぼれ球を押し込んでハットトリックを達成し、チームの残留を決定づけたのである。
前節まで得点もアシストも記録してなかった彼が、最後の最後にとてつもない大仕事をやってのけた。その4ゴールのおかげで、オイペンは15位のメヘレンに勝ち点で並び、得失点差でわずか「1」上回り、奇跡の1部リーグ残留を決めたのだ。
この試合まで目立った活躍がなかった豊川。それでもチャンスを与え続けてくれたマケレレ監督の期待に応えたかった…とゲーム後に語ってくれた。
試合後、スタジアムに集まった多くのサポーターは興奮を抑えることができず、試合終了とともにピッチへなだれ込んでいった。その中心には、2部リーグ降格の危機に立たされていた崖っぷちのクラブを救った豊川雄太の姿があった。サポーターに担ぎ上げられ、何度も宙を舞っていた光景を見ることができ、僕も胸が熱くなり、自分のことのように喜んだ。
周りで観ていた多くの人々も興奮を抑え切れない状態で、次々に僕に声をかけてくれた。豊川は君の兄弟かと…多くの関係者から質問されたのだ。あまりに年の差がありすぎるので、さすがに苦笑いしかなかったが、そんな質問をされても嬉しかった。嬉しさのあまり、言葉にならない瞬間とはきっとこのことを言うのだろう。最高の時間を過ごすことができた一日となった。
リーズ・ユナイテッド フジタトシヤ